自己破産で必要な弁護士費用や裁判所に払う費用はどのくらい?

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自己破産で必要な弁護士費用や裁判所に払う費用はどのくらい?

自己破産を行う際には裁判所に申し立てる必要がありますが、それにもお金がかかります。また代理人として自己破産手続を進めるのに欠かせない弁護士を雇うにも、手付金や報奨金といった費用がかかります。

 

では具体的にはどういう理由でどの程度の費用がかかるのか、それを見ていきましょう。

 

自己破産する時にかかる費用

自己破産の際にかかる費用は大きく分けて2つあります。

裁判所に支払う費用と、弁護士や司法書士へ支払う費用です。

 

このうち、裁判所に支払う費用は自己破産の方式で大きく金額が変動します。自己破産の方式は「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。

 

このうち、管財事件は、通常の管財事件と、簡素な手続きで短期間で終わる「小額管財」があります。小額管財ができるのは、都市部の地方裁判所に限られ、手続きも代理人である弁護士が行わなければならないという条件がありますが、個人の自己破産の場合、多くはこの小額管財となります。

 

小額管財は、短期間で終わるということだけではなく、裁判所へ支払わなくてはならない予納金が、通常の管財事件よりも、安く済むという利点があります。

 

自己破産の方式は、破産者がどのくらいの財産を持っているかによって決まります。

破産というのは単に負債を帳消しにする行為ではなく、本来は残った財産を全て売り払って債権者に支払い返済するという行為です。

 

裁判所によって選任された破産管財人が破産手続きを進めます。その際、破産管財人が管理したり処分したりする財産は、「破産財団」と呼ばれます。

 

破産財団として数えられるのは単独での評価額が20万円を超えるような動産や不動産、99万円以上の現金などです。預金や保険金も財団の一部として数えられる場合が多いです。

 

しかし昔のドラマのように金目のものはなんでもかんでも破産財団として数えられ、差し押さえられるというわけでもありません。

 

裸一貫で放り出されてしまってはいくら借金が無くなったところでその後の生活を続けていくことは不可能です。

 

そのため、民事執行法には差押禁止財産として衣類、寝具、家具、家電、3か月分の食料品と燃料、冷暖房、仕事道具など生活に必要なものは単価が20万円以上のものでも自己破産の際に差し押さえてはならないことが定められています。

 

差押禁止財産以外のものでも差し押さえられない自由財産の拡張が認められる場合もあります。個々の事例や判断については担当する地方裁判所によって差があるので、事前に判例を調べると良いでしょう。

 

破産財団として数えられるようなものを持っていない場合、破産手続費用を賄えないと見なされ、破産手続が開始と同時に廃止となる同時廃止となります。

 

全国の地方裁判所で行われた2014年の個人の自己破産案件のうち、73%が同時廃止となっています。一方、東京地方裁判所は自己破産手続の際の条件が厳しくされているため、自己破産案件のうち半数以上が管財事件として扱われています。

 

破産者が十分な破産財団を持っていると見なされた際には管財事件となります。

 

管財事件の場合は具体的にどのくらいの破産財団を持っているのかを調査する破産管財人の調査や、破産手続きに債権者の意見を反映させるための債権者集会が行われるため、手続きの期間も長引きますし、費用は同時廃止の場合よりずっと大きくなります。

 

弁護士に依頼した上で個人による小規模な自己破産の管財事件を、少額管財として手短に終わらせることもできますが、むしろ少額管財の方が管財事件の中では大多数なのが実情であり、少額管財ではない管財事件の方を特定管財や通常管財として区別することもあります。

 

また、自己破産するのが個人事業主や自営業者の場合は、同時廃止ではなく原則として管財事件となります。

 

本来、同時廃止と見なされるような案件であっても、破産者が意図的に財産を減らす様な行為(否認対象行為)を行っていた場合には、管財事件となる可能性があります。

 

否認対象行為は財産を少ないように見せかけるために自己破産直前に財団を安く売り払ったり隠したりする詐害行為、特定の債権者だけに前もって借金を返済する偏頗弁済などが該当します。

 

特に偏頗弁済を否認対象行為と知らずに行っていた場合は情状酌量の余地ありとして許される場合もありますが、悪質な行為を意図的に行っていた場合、自己破産の免責そのものが不許可になることもあります。

 

裁判所へ納める「予納金」とは?

自己破産を行う際に裁判所に支払うお金は、

  • 裁判所を利用する際に支払う手続き費用、手数料
  • 自己破産を行う際に支払う予納金

の2つに分けられます。

 

まず、自己破産の申し立てをすることに対しての手数料、申立手数料です。申立書類に収入印紙を貼ることで納めます。金額は破産申立に1000円、免責申立に500円で合わせて1500円かかります。

 

債権者へ書類を送る際の郵便代金が郵便切手代です。これは担当する地方裁判所によって金額が変動しますが、どこの裁判所でもおおむね数千円の範囲となります。

 

例として、東京地裁では4100円の固定相場ですが、さいたま地裁や盛岡地裁のように変動制をとる地方裁判所もあります。

 

これらは自己破産の形式にかかわらず同じ裁判所であれば一定の額であり、また予納金と比較しても割合としてはとても小さくなります。

 

予納金もまた2つの費用の合算となっています。

 

その大多数を占めているのが管財事件となった際、破産管財人に報酬として支払う引継予納金です。

 

引継予納金の額は負債総額と破産するのが個人か法人かにによって決まり、個人が5000万円未満の負債で自己破産を行う場合は50万円とされています。

 

しかし、個人に50万も支払わせるのは重すぎ、その一方で同時廃止になるケースも多すぎるとして導入されたのが少額管財です。

 

少額管財の場合は引継予納金は原則として20万円とされています。なお、同時廃止になった場合は破産管財人が介入することも無いので引継予納金も発生しません。

 

予納金のもう一つの要素が官報公告掲載費です。官報とは日本政府の機関紙で、法令の公布や国の機関の広報をその目的としています。官報の掲載内容の1つに破産者の公告というものがあり、その掲載者も破産者本人が支払わなくてはなりません。

 

官報への掲載は破産手続きの開始時と免責許可決定時の各1回ずつ掲載されます。官報公告掲載費も裁判所によって多少値段は前後しますが、1万〜1万5000円前後という場合が多いです。

 

例として東京地裁では同時廃止では10,584円、少額管財では16,550円、名古屋地裁では同時廃止では10,584円、管財事件では13,834円、横浜地裁で管財事件では13,834円といった具合です。

 

予納金を一括で支払うのが難しい場合には、地方裁判所によっては分割して納めることが認められることがあります。

 

ただし予納金を支払い終わった後で債権者集会が行われるので、自己破産が完了するまでの期間はそれだけ長引くことになります。

 

自己破産で弁護士や司法書に支払う費用はどれくらい?

自己破産手続きは、実は弁護士を介さずとも個人で行うこともできます。

 

しかしながら、多大な手間と法律に関する広範な知識が要求され、裁判所がそれを支援してくれるということも無く、その上少額管財が認められる条件として管財事件について熟練した弁護士が申立をすることが含まれているので、餅は餅屋、プロに任せたほうが良いでしょう。

 

また、弁護士以外で破産手続きを依頼できる相手として司法書士がいます。法務省から認定を受けた認定司法書士であればある程度弁護士の業務を代行できるからで、費用も弁護士よりも安く設定されている事が多いです。

 

しかし、司法書士は訴訟代理権を持っていないため、依頼人の代理として出廷することができません。その上、即日面接が行えないため、破産手続きの開始や同時廃止の決定までに時間がかかり、先に述べたように少額管財も行えません。

 

また司法書士の本業は不動産などの登記であるため、専門教育を受けてきた弁護士に比べて法律の知識でも不十分な場合があります。個人再生や任意整理であればともかく、自己破産の場合はできるだけ弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

 

日弁連の調査では2014年に自己破産申立を行った人のうち、84%以上の人が弁護士に、13%以上の人が司法書士に依頼をしています。

 

では弁護士に自己破産手続を依頼した場合、具体的にどの程度の費用がかかるのでしょうか。

 

弁護士は国から給料をもらう公務員ではなく、自分の報酬は自分で決める自営業者です。かつては日弁連が報酬基準を定めていましたが、2004年に廃止され、現在では各弁護士事務所がそれぞれ弁護士費用を定めています。

 

とはいえあまり高いと誰も依頼してこなくなりますし、安すぎると自分の生活が立ち行かなくなるので、過去の基準を踏襲した案件ごとの弁護士費用の相場というものも存在しています。

 

日弁連が2008年に行った調査では、同時廃止となった場合の自己破産手続きの費用は、86%の弁護士が手付金として20〜30万円を請求すると回答し、報奨金は取らない弁護士が2/3を占めたものの、29.4%の弁護士は10〜30万円かかると回答しました。

 

弁護士事務所によっては、相談料、日当、手数料など追加でかかる費用もあります。初回の法律相談だけは無料と定めている弁護士事務所も多いです。

 

破産手続開始決定後で金額が変わる

先に述べたように、裁判所に納める額の大半を占める引継予納金は同時廃止、少額管財、管財事件によって大きく変動します。

 

それだけではなく弁護士への報酬も同時廃止と管財事件で変わってくるので、結果として同時廃止と管財事件では何倍も費用に差が出ることになります。

 

総額でいくら必要?

同時廃止の場合は裁判所へ納める額は2〜3万円程度で済み、弁護士への報酬も20〜30万ほどで収まります。総額は30万円以内で収まることになるでしょう。

 

少額管財の場合は引継予納金が大きく増えるので20万円以上、弁護士報酬も40〜50万ほどに増額する場合が多いです。総額では60〜80万円ほどかかります。

 

管財事件では引継予納金はさらに上乗せされるので、総額では100万円を超えることでしょう。

 

なお、予納金の納入方法は、裁判所によって異なるので注意が必要です。

 

全額を一度に納入しなければならない場合もありますし、破産財団を処分後に納入できる場合もあるからです。さらに、弁護士への支払いも、分割納入などが可能になる場合もありますから、一括納入が困難な場合は、相談してみてはいかがでしょうか。

 

なお、あまりにも収入や財団が少なく、弁護士に依頼するのも難しいほど困窮している場合は、無料で弁護士に相談でき、弁護士への費用も立て替えてもらえる民事法律扶助制度というのもあります。

 

法務省の機関である、日本司法支援センター、いわゆる法テラスが行っている制度です。これを利用すれば、弁護士との30分ほどの無料相談が3回まで受けられます。

 

また、弁護士に、自己破産手続きを代理してもらうことができます。詳しくはお近くの法テラスに相談することをおすすめします。また、法テラスと契約している、民間の弁護士の事務所に相談することもできます。

 

こちらも同じように、民事法律扶助制度を利用することができます。

 

お金がないから自己破産するわけですが、お金がないゆえに、自己破産の手続きすら始められないという場合は、法テラスを通じて弁護士のサポートを受けてみてはいかがでしょうか。

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