今さら聞けないグレーゾーン金利の問題とみなし弁済について

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今さら聞けないグレーゾーン金利の問題とみなし弁済について

グレーゾーン金利問題やみなし弁済についての正確な知識を有している方は多いようで少ないのが現状です。何となくはどういったものであるのかは理解しているものの、具体的に説明ができないという方も少なくないでしょう。

 

グレーゾーン金利がなぜ廃止となったのか、そしてみなし弁済というものはどういった仕組みであるのかを知ることの意味は大きいです。特に今現在はもちろん、過去にグレーゾーン金利での借り入れを行っていたのなら、過払い金請求ができる対象となります。

 

高金利での借り入れを行っていたものの、現在で定められている金利に計算をし直しての返還がある可能性も大いにあるため、これらの点をしっかり把握しておいた方が良いでしょう。

 

旧貸金業法の「みなし弁済」

旧貸金業法のみなし弁済は今でこそグレーとはなったものの、当時は合法であると考える根拠があったのが事実です。これは簡単にいえば、債務者が支払った金額は任意で支払ったものとされる旧貸金業法43条があったためです。

 

みなし弁済に必要な条件は利息の支払いを任意で支払ったからとなります。また、当然ながら法律で定めた契約書を交付し、返済において必要となる書式の領収書を交付しているのも条件です。これらの条件がある前提で、出資法に違反しない範囲で利息制限法を超える金利であってもOKという規定がありました。

 

今ではなくなったものの、消費者金融やカード会社などの金融業者は、金利25~29.2%という高い水準の金利での貸付を行い、ごく当たり前の流れが出来上がっていたのが事実です。

 

この流れが崩壊したのは、2006年1月13日に最高裁で1つの結論が出たシティズ判決によってです。みなし弁済適用が認められなくなり、みなし弁グレーゾーン金利問題がグレーから黒と変わった瞬間となります。

 

最高裁判決で論点になったのは大きく2つです。

 

また、任意の支払いに対して期限の利息を付けるという点がおかしいとされました。あくまでも任意であるのに制約が存在するのは、いってみれば強制といえます。期限までに利息を支払い、その上で残元本金額を一括して支払うという義務を負うという誤解を与えかねないという理由も大きいです。

 

利息制限法を超えての金利を定め、その上で契約をするのは問題ないとされました。しかし、期限の利益損失を付けるのがNGとされ、支払いが遅れても返済を迫らないという点の説明も必要になりました。

 

また、契約書に記載されていないのなら、みなし弁済規定の適用がないというのが裁判所の見解です。金融業者側からすれば、あくまでも任意の支払いで、みなし弁済であるという説明が強制とみなされるようになりました。

 

金融業者で契約をするとなると、利息の返済の権利や期限の利益の喪失に伴い、一括返済をしないといけない条件を盛り込むのは常識です。これをグレーゾーン金利で貸し付けているのなら、話は変わっていきます。

 

強制ではないという条件があるため、支払っても支払わなくても良いという意味になってしまうものの、金融消費貸借契約書に支払いの遅れに伴って残金の一括返済を迫るという記載がある矛盾に繋がります。この部分を最高裁ではおかしいとみなされたことによって、みなし弁済は適用されなくなりました。

 

なぜ貸金業者が「みなし弁済」できなくなったのか?

貸金業者がみなし弁済を主張できなくなった理由としては、任意であるのに強制をしているという矛盾がおかしいとされたのが大きいです。金銭消費貸借契約書には、期限の利益喪失条項が盛り込まれています。貸金業者は慈善事業ではなく、利益を獲得するためにお金を貸し付けているため、当然といえるのは理解できるはずです。

 

ただ、グレーゾーン金利での貸し付けの場合は、任意という条件があります。

 

みなし弁済が認められるためには、あくまでも任意で債務者が利息制限法を超える金利を支払うという条件付きです。しかし、金銭消費貸借契約書には、元本や金利の支払いが期限通りではないのなら、残金一括返済を迫るという記載があるのは矛盾しています。

 

任意であるのに強制をすると矛盾がおかしいと最高裁で判断されたのが、貸金業者がみなし弁済を主張できなくなった直接的な理由です。

 

決められた期日までに利息の返済や元本の返済をしてもらうための契約条項を盛り込むのは貸金業者として当然のことです。しかし、みなし弁済が認められるための条件として、任意で債務者が利息制限法を超える金利を支払うという部分があります。

 

任意であるということは、支払っても支払わなくても良いという意味にあたるため、債務者としては最高裁で判例が出たということもあって、付け入る隙は大いにあるということです。

 

任意と矛盾が混在していたのが旧貸金業法のみなし弁済でした。

 

任意の支払いであるものの、期限の利益を付けるのは強制であると認識するのは当然といえば当然です。契約書で利息制限法を超えての金利を定めた上で契約すること自体には構わないものの、期限の利益損失を付けると無効という条件があります。

 

つまり、債務者があくまでも任意だからという理由で支払いをしなくてもいいのではないかといわれると、貸金業者としては何もいえなくなってしまいます。これがみなし弁済規定の適用がないという判例が下された理由の最たる部分です。

 

契約書に「期限の利益喪失」約款がある場合

グレーゾーン金利での契約書で期限の利益喪失の約款がある場合は、無効となります。契約書で利息制限法を超える金利を支払うという契約をすること自体は構わないものの、貸金業者は利息制限法を超える部分は支払いが遅れた場合でも一括返済を迫らないという説明をしないといけません。

 

貸金業者の契約書には期限の利益喪失約款が入っているのは当たり前です。

 

そうでないと、支払いの強制ができなくなってしまうため、当然といえば当然といえるでしょう。しかし、最高裁での判決によって、契約書には記載があるものの、あれはあくまでも任意でみなし弁済が認められての合法という主張はできなくなりました。

 

旧貸金業法のみなし弁済は債権者が任意で支払いをし、法律で定める契約書や領収書の交付が必要でした。最高裁での判決によって、債務者の任意性と18条書面の交付の要件を満たせなくなり、みなし弁済の主張もできなくなりました。

 

それまではグレーゾーン金利はグレーであったという認識が、完全に黒となった瞬間です。

 

金利25~29.2%という高金利が当たり前で多くの方が高い金利の支払いに苦しみ、過払い金請求訴訟が見られた中で、この判決が出たことの意味は非常に大きいのは間違いありません。

 

つまり、貸金業者としては一切返済が遅れも請求しないという説明が必要になります。債務者からすれば、返済が遅れも返済しなくても良いものと認識するのは当然です。旧貸金業法のみなし弁済は圧倒的に貸金業者が有利なものであり、この判決が出たことによってみなし弁済の適用はなくなりました。

 

当然ながら、貸金業者としては支払いを反故にされるリスクがある中で、あえてグレーゾーン金利での貸付をするメリットがありません。

 

今でも中には違法な金利での貸付を行っている貸金業者もあるものの、ごくわずかです。訴えられてしまうと、支払いをしてもらえないのはもちろん、貸金業者として運営ができなくなってしまうリスクも含んでいます。支払いに関しての強制をしているかどうかが重要であって、みなし弁済で合法という言い分は主張できなくなりました。

 

18条書面の交付の問題

貸金業者にとって致命的なみなし弁済成立のための立証が不可能となったのは18条書面の交付の問題です。まず、みなし弁済として認められるためには、債務者があくまでも任意で支払いをする点と、17条書面と18条書面の交付が絶対条件となります。問題となるのは18条書面の交付です。

 

18条書面に必要な記載事項としては、貸金業者の称号や名称、契約年月日、貸金業者の登録番号などです。

 

旧貸金業法施行規則15条では、契約番号が記載されているかどうかが大切とされていました。つまり、契約年月日や貸金業者の商号あるいは貸金業者の登録番号といった記載は省略されていた訳です。

 

内閣府の施行規則で、契約番号を書いているのなら、契約年月日は毎回書かなくても良いルールを定めていた中で、最高裁での判決で契約年月日まで書かないといけないと出ました。旧貸金業法施行規則の規定が無効であると判断されたのが貸金業者にとって致命的となったのは間違いありません。

 

旧貸金業法施行規則に沿って、領収書には契約番号を記載していれば良いとされていたからこそ、そのまま領収書を発行していた中での最高裁での判決です。貸金業者が交付する領収書には、契約番号の記載はあるものの、それ以外の記載はありませんでした。

 

そして、みなし弁済の適用条件を満たせないという判断に繋がっていきます。

 

18条書面には契約年月日と貸金業者の登録番号の記載がないといけません。この2つの条件をクリアして、初めてみなし弁済の主張ができます。このルールが生まれたことによって、貸金業者がみなし弁済成立の立証が不可能となりました。

 

貸金業者からすれば、必要とされる記載事項を領収書に記載しての発行をしていたものの、法律の委任の範囲を逸した違法な規定であるから無効と判断されてグレーゾーン金利での貸付が終わりを迎えました。

 

グレーゾーンの金利問題は解消している

グレーゾーンの金利問題は既に過去のもので、現在では完全に解消されています。2010年6月に出資法、貸金業法、利息制限法が改正されて、グレーゾーンは存在していません。以前と現在で法律が変わった点は大きく3つです。

 

  • まず貸金業法では、みなし弁済規定によって利息制限法を超える金利での貸付が良かった、利息制限法を超える金利でも罰則がないというのが改正前となります。
  • 改正後は、旧貸金業法43条にあたるみなし弁済規定は廃止され、貸金業法12条の8にあたる貸金業者は利息制限法を超えての金利の契約を凍結してはいけないと追加されました。
  • そして、貸金業法24条6の3、4にあたる利息制限法に違反すると行政処分の対象となったのもグレーゾーン金利問題解消の大きなポイントになります。

 

出資法では改正前は上限金利が年利29.2%、出資法の金利に違反すると罰金や懲役の対象とあるのが改正前で、改正後は上限金利が年利20%までで出資法の金利に違反すると罰金や懲役の対象となる点はそのままです。

 

利息制限法では元本10万円未満は年利20%まで、元本10万円以上は年利18%まで、元本100万円以上は年利15%までという点は変わりないものの、遅延損害金が上限20%を超えてはいけないという変更点があります。

 

上限金利が全て年利20%に揃えられた意味は非常に大きいです。

 

かつての上限29.2%とは大きな違いがあるのはいうまでもありません。過払い金請求訴訟があちこちで見られるようになった理由に直結する部分です。

 

遅延損害金に関しても上限が20%と定められ、足並みが揃えられたことによって、債務者が把握しやすくなったのも大きいといえます。

 

また、貸金業法が新たに定められ、貸金業者が利息制限法を超える金利の契約を凍結できないとなったのも大きく、利息制限法に違反すると貸金業違反となります。

 

この取り決めがあるからこそ、貸金業者は法律違反をよりしなくなる理由に繋がっていくといえるでしょう。そして、利息制限法の違反に罰則が付き、業務改善命令や監督処分ができます。出資法の刑事罰に比べると思いものではありません。

 

しかし、貸金業の登録の取り消しや業務停止処分を命じられる点を考慮し、罰則をより避けようとする意識が働きます。大きなリスクを背負ってまで利息制限法を超える金利での貸し付けをしようとする貸金業者は当然ながら少なくなっていきます。

 

多くの方にとって深い関わりのある3つの法律の改正に伴い、グレーゾーン金利での貸付は解消されています。貸金業者にとっては大打撃であるのは間違いないものの、お金を借りる債務者にとっては嬉しい点ばかりです。

 

そして、法改正される前の高金利で借り入れをしていた方は、過払い金請求で法定金利に引き直しての計算をしての返還交渉も行えます。個人での請求をするとなると大変なことも多いものの、専門家に依頼をすれば何も面倒はありません。特に長期に多額の借り入れをしていた方にとって、過払い金請求はメリットが大きいです。

 

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