強制執行にってなに?「執行文付与」の手続きの仕方

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強制執行ってなに?「執行文付与」の手続きの仕方

強制執行は、貸したお金などを返してくれない相手から強制的に資産を取り立てることを言います。しかし強制執行を行うには確定判決もしくは和解調書、あるいは公正証書などの、債務名義と言われる公的書面が必要です。

 

ですがこれがあるからといって、すぐに強制執行が出来るわけではありません。債務名義に加えて、執行文付与という手続きを行ってこそ、強制執行ができるようになるのです。

 

執行文付与というのは、判決正本や和解調書、公正証書などが現在執行力を保持していることを書面の最後に書く手続きです。

 

しかし仮執行宣言付支払督促および少額起訴の判決を用いた強制執行は例外で、執行文付与の手続きをする必要はありません。

 

「執行文付与」の手続きが必要な時って?

例えば相手が和解調書で行った合意内容を履行してくれない(支払いを期限までにしてくれなかったなど)場合、その和解調書を裁判所に提出しても、すぐには強制執行してはくれません。和解調書を債務名義として強制執行をするためには、執行文付与の手続きをする必要があります。

 

執行文付与の手続きでは、和解調書の場合、その調書の作成に立ち会った裁判官の書記官に、その債務名義が執行力を持っているということを証明する文を記して貰う必要があるのです。和解調書を作成した裁判所にもう一度持っていけばそれで良く、複雑なことはありません。

 

そしてほぼ全ての債務名義には執行文付与をしてもらわなければ強制執行できません。

 

和解調書だけでなく、確定判決、仮執行宣言付判決、公正証書、調停証書、認諾調書なども、執行文付与をしなければ強制執行はできません。

 

例外として、少額起訴の判決と支払督促、家事審判などでは執行文付与を行わなくても強制思考ができます。

 

ところで、なぜ一度作った債務名義にわざわざ執行文付与しなければいけないのでしょうか。

 

これには、次の例がわかりやすいでしょう。

 

例えば、債務名義作成日から4ヶ月後にお金を返す、などとその債務名義で決定されていると、債務名義作成時点で執行力をもたせることは出来ません。

 

なお前述のとおり、強制執行で強制的に債務者の銀行口座や給与、動産・不動産を競売にかけて債権を回収するためには、債務名義をはじめに取得しなければいけません。

 

これを獲得するためには、公証役場に当事者同士が行って公正証書を作成する、起訴して勝訴するなどの仕方があります。この債務名義を取得するのもかなり大変なのですが、当記事はあくまで執行文付与についての記事ですので、省略させていただきます。

 

そして規定上、債務名義があるからといって強制執行が直ぐにできるわけではありません。

 

実際に強制執行をするには、一部の例外を除いて執行文付与が必要不可欠です。

 

なぜ強制執行に執行運付与が必要なのかを、改めて説明します。

 

確定判決もしくは和解調書、あるは和解調書などの債務名義には、単体で強制執行を申し立てられる効力を持っています。しかし債務名義だけでは、強制執行ができるのはいつからか、あるいは今すぐ強制執行をすることが可能かどうかが分からないことがあるのです。

 

上で例に出した、支払期限が設定されている場合などでは、相手が支払いを決め事どおり行わなかったときに始めて強制執行が可能になるのです。

 

また、債務名義での取り決めの形式には様々な種類があり、代金と引き換えに○○を譲る、あるいは、もしも△△したら××円を支払わなければいけない、などがあります。

 

このような場合も、債務名義があるからといって、なにかの理由でその正当性が認められなければ強制執行ができないことはお分かりいただけるでしょう。

 

特に日本では判決を下す、和解調書を作成するなどする裁判所と、強制執行を行う裁判所がそれぞれに分かれています。そのため、その債務名義が現時点で効力を持っていることをひと目見てわかるよう、執行文付与が必要不可欠なのです。

 

なお、債務名義に記すと言っても、本当に債務名義に直接書き込むわけではありません。執行文の紙を債務名義とともに綴じて、執行文付与としています。

 

「執行文付与」が必要な時とそうでない時

基本的には、債務名義は強制執行前にその作成機関に執行文を付与してもらわなければいけません。

 

公正証書で強制執行をする場合には、その公正証書を作成したときの公証役場を訪れて立ち会った裁判官の書記官に執行文付与をしてもらい、その後公正証書を裁判所に持っていって強制執行を申し立てねばなりません。

 

また、和解調書を債務名義として強制執行をする場合には、公正証書と同じく、その和解調書を作成した裁判所に言って、担当の裁判所書記官に執行文付与をしてもらってから、その和解調書を裁判所に持っていって強制執行申し立てを行わなければいけません。

 

まとめてご紹介いたしますと、判決を出した裁判所の担当裁判所書記官に執行文を付してもらわなければいけないのが、

  • 確定判決、
  • 仮執行宣言付判決、
  • 和解調書、
  • 調停調書

です。

 

そしてその債務名義を作った公証役場の公証人に執行文付与してもらわなければいけないのが

  • 公正証書、

執行文付与が不必要なのが

  • 少額起訴の確定判決、
  • 少額起訴の仮執行宣言付判決、
  • 仮執行宣言付支払督促、
  • 家事審判所、
  • 家事調停書の一部の場合

です。

 

なお、裁判所書記官に執行文付与して貰う場合は300円、公証役場の公証人に付与してもらう場合には1700~3400円が必要です。

 

なお、少額起訴か支払督促の場合について説明します。

 

少額起訴は取り立てる金額が50万円いかのときだけに利用できる起訴で、1度の審理で判決が出るので、簡易的な裁判といって良いでしょう。支払督促は、1年に10回しか訴えを行えませんが、最短では28日で債務名義を取得できる方法です。

 

どちらも債権額、あるいは回数に制限がついているものの、速さを重視している制度ですので、執行文付与を行わなくても良いのです。

 

ただしどちらも相手に少しの法律知識があれば長期戦に持ち込まれてしまうという欠点もあります。

 

公正証書を公証役場で作ってもらった場合、公正証書の原本はその役場に保管されています。ですから公正証書の執行文付与を申し立てるときには、原本の保管されている、その公正証書を作った役場を訪れて執行文を書いて貰う必要があります。

 

ただし、公正証書の執行文には単純執行文と条件成就執行文、承継執行文などの種類があり、そのため料金に幅があります。

 

この違いについては、後ほど説明することとします。

 

執行文付与の申請に必要な書類

執行文付与に必要な書類は、債務名義だけではありません。確定判決を債務名義として用いる際には、判決書のみならず確定証明書を添付して裁判所書記官に提出しなければいけません。

 

判決書は確定しないと債務名義としての効力を持たないので、執行文付与をしてもらうためには確定証明書が必要なのです。

 

また、間を置かずに強制執行をすることを考えているのなら、債務名義が相手にも送られていることが執行に必要な条件の一つとなります。ですので、執行文付与を申し立てると同時に、相手に債務名義を送ってもらう手続きを行うのが普通です。

 

また、既に相手に債務名義を送った後であったとしても、それを証明する送達証明書が必ず必要なことには留意してください。

 

したがって、執行文付与申請をする際に必要となる書類は、執行文付与申請書、確定証明書、送達申請、送達証明書の発行申請、となります。

 

ただし、判決や和解調書のときには裁判所が予め相手に債務名義を送達してくれていますので、通常は必要ありません。ですから、送達証明書を発行してもらいましょう。

 

しかし、あとで述べる条件成就、あるいは承継などによる執行文付与をする際には、あらためて執行文とその条件が成就したことを証明してくれる書類が必要になります。

 

こういった執行分の種類は複雑なので、裁判所窓口の方に尋ねるのも良いでしょう。

 

執行文の種類【条件成就執行文】

ここまで執行文付与とひとまとめにして説明してきましたが、執行分にはいくつかの種類があります。少しだけ名前が出てきましたが、

  1. 単純執行文、
  2. 条件成就執行文、
  3. 承継執行文

の3種類です。

 

具体的な例を挙げて説明しますと、普通に債務者が支払い期日までに支払いをしてくれなかった場合には、誰の目から見ても強制執行ができることが明らかです。こういった、明らかに強制執行可能な場合に付与してもらえる執行分が、単純執行文です。

 

しかし、もっと条件や、権利が複雑なこともあるのです。

 

そのような場合で、例えば○○万円の支払いを行うことを公正証書で同意したAという人物が何らかの理由で亡くなってしまい、その権利を相続したBさんが債権者になるという場合が考えられます。

 

このような場合では、BさんがAさんの権利を承継したという事実を証明できなければ、執行文を付与してもらえません。ゆえに、このような場合での執行文を承継執行文というのです。

 

とはいえ承継の手段は相続だけではないので、債権譲渡された、権利主の法人が吸収された、合併したなどのパターンで債務者の義務が相続人に継承されることもありえます。

 

 

こういった場合でも債務名義をわざわざ取得し直す必要はないのですが、債権者が執行文付与を申し立てるときには、債権責務が承継されていることを証明可能な書類をともに提出する必要はあります。

 

とはいえ、そこまで複雑に解釈してどうしようかと悩むことはありません。

 

例えば権利主の法人が合併したなどの場合には商業登記簿を、権利が相続されていた場合には戸籍簿を、債権譲渡がなされていた場合には通知のときに用いた内容証明郵便と配達証明を、それぞれ提出すればそれで大丈夫なのですから。

 

なお、商業登記簿は法務局で誰でも取得できます。

 

たとえ債務者が亡くなってしまわれていた場合であろうと、強制執行や裁判に必要であるという、正当な理由がありますから、債権者は相手の戸籍謄本を得られます。

 

債権譲渡が行われていた場合には、必ず債権譲渡通知書という書類を送っていますから、その通知書と配達証明などがありさえすれば、譲渡が成されたことを証明する書類となります。

 

その他には、債務者が債務を弁済、つまり支払うことに条件が付与されているパターンがあります。

 

例を挙げると、「将来、債務者が退職金を受け取った際には、その財産分与として○○円を支払う」などのように、予め決められた条件を満たした場合にのみ債権が発生するという場合もあります。

 

ですが、その条件が満たされたことを証明する義務は、債権者にあります。

 

そのため、あまりに複雑な条件、あるいは証明が非常に難しい条件を設定してしまうと、大変な思いをして公正証書や和解調書を作成していても、執行文付与をしてもらえなくなってしまう可能性が高まりますから、そういった条件を設定するのは避けるようにしましょう。

 

しかし単に支払期日を過ぎた、などの場合には、債権者が支払いが無かったことを証明する必要はありません。そしてこの場合には、条件成就執行文ではなく、単純執行文が付与されます。

 

さらに、分割払いで契約をしたパターンでは、一度支払いを滞納したら、残りの債務は一括で返済するなどとする期限の利益喪失条項と言われる条項を付けておくのが普通です。

 

このパターンでも、相手の支払いがされていなかったことを証明する義務はなく、単純執行文が付与されます。

 

ただし、債権者が催促を行わなければならない、などの条件がある場合には、催促を行ったことを、内容証明郵便などを用いて証明する義務があります。

 

文書でないと証明されない承継執行文や条件成就執行文

承継執行文と条件成就執行文の証明は、文書で行わなければいけません。

 

債権者は、承継執行文では「債権や債務の承継があったこと」、条件成就執行文では「事実の到来があったこと」を証明する義務がありますが、その方法としては文書の提出のみが認められているのです。

 

執行文付与は公証役場で公証人が実行するか、もしくは裁判所で裁判所書記官が行うので、文書以外の方法では手続きする手立てがありません。そのため、例えば証人を連れて公証役場や裁判所に行っても、これらの執行文を証明することはできないというわけです。

 

以上のことから、残念ながら文書を用いた証明が困難ならば、執行文付与の訴え、という裁判を申し入れなければいけません。

 

なお、債務者も執行文付与に納得できないときには異議申し立てや裁判をおこすことを認められているので、こうした場合には時間がかかってしまうでしょう。

 

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