銀行預金の差押えの際におこなう「転付命令」の効力について

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銀行預金の差押えの際におこなう「転付命令」の効力について

なんらかの事情で銀行の預金を差押えられてしまった際に、転付命令を申し立てる銀行も少なくありません。この転付命令の効力とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 

そして転付命令とはいったいどのような目的で行われるものなのか、これを知っておくといざという時にスムーズな手続きをする事ができ、差押えをする際に余計なトラブルが起きてしまう事を回避できます。

 

銀行預金の差押えから回収までの流れ

銀行預金の差押えの転付命令について知るためには、まず銀行預金の差押えが完了するまでの手順を知っておかなくてはいけません。

 

どのような手順で銀行預金の差押えが行われるのか、取り立てはどのように行われるのかを知っておくと、転付命令がなぜ行われるのかという点についても知る事ができます。

 

銀行預金の差押えは、差押えをした時点で終わりという訳ではなく、実際に取り立てが完了するまで油断する事はできません。

 

これは取り立てが完了するまでの間ならば、他の債権者が後乗り可能であるというのが原因で、もし取り立てが終わる前に後乗りされてしまった場合は預金が供託所に供託されてしまい、預金の全てを回収する事ができなくなってしまいます。

 

銀行預金の差押えが完了するまでの流れとしては、差押えを申し立てて強制執行によって預金口座を差押えた後、裁判所から預金口座を持っている相手に対して差し押さえ命令が送達されます。

 

この差押え命令が送られてから1週間が経過して、初めて銀行の預金口座に入っている預金を回収する事が可能となりますが、この債務者に対して裁判所から送られる差押え命令が何らかの理由で遅れてしまうという事も少なくありません。

 

これは郵送する時のトラブルなどもありますが、債務者が差し押さえ命令を受け取らないという事態もあります。

 

預金口座から回収可能になるのは差押え命令が送達されてからですから、債務者が受け取らない限り回収をする事はできませんので、他の債権者が後乗りされてしまう可能性が高くなってしまいます。

 

不在などでわざと差し押さえ命令の送達を受け取り拒否している場合、法的手続きを使って強制的に郵便物を届けさせる事は可能ですが、その手続きなどにも時間を取られてしまうのでどうしても余計な手間がかかってしまいます。

 

そういった事態を回避するために効力を発揮するのが転付命令であり、これを利用する事で差押え命令の送達に時間がかかったせいで他の債権者に後乗りされてしまい、回収できる金額が少なくなるという事態を避ける事ができるようになります。

 

後乗りによって差押えた預金口座からきちんと回収できるようにするためには、この転付命令の効力を使っていかなくてはいけません。どのような効力があるのかを知り、預金口座の差押え命令の手順なども知っておきましょう。

 

銀行の預金口座を差押えたとしても、すぐに債務の回収をする事はできません。

 

差押え命令が裁判所から債務者に送達されて、初めて預金の回収をする事ができますが、場合によってはこの送達がうまくいかず時間がかかってしまい、そのせいで複数の債権者が預金口座を差押える事になってしまい、回収する金額が減ってしまうという事もあります。

 

転付命令しておく方法

預金口座を差押えたとしても、差押え命令の送達に不備があった場合、預金口座から回収する事は難しくなってしまいます。ですからそれを防ぐために転付命令の効力が必要となってきます。

 

では、この転付命令の効力とはどういったもので、この転付命令をする事で債権者が独占できるようになるものは、どういったものなのでしょうか。

 

それを知っておく事で預金口座を差押えた際に転付命令を使って、他の債権者に後乗りされないようにして回収すべき債務を回収しやすくなります。では、転付命令といったいどのような効力があるもので、転付命令が確定することによって債権者が独占できるようになるものには、どういったものがあるのでしょうか。

 

転付命令は債務者の持っている預金の払い戻し請求権を債権者に移してしまうというもので、もともとの債務者と関係なしに銀行から直接債務を回収する事が可能となります。

 

通常の債権回収ではあくまでも債務者から取り立てるというものでしたが、転付命令が確定してしまうと債務は元々の債務者ではなく、銀行がその債務を負っているという状態になります。

 

そして転付命令が確定すると、債務者は差押えられた預金口座から銀行に対して払い戻しを請求する権利を失うため、他の債権者が同じ預金口座に対して後乗りで差押えをする事ができなくなり、転付命令を確定させた債権者が差押えた預金口座を独占して回収する事が可能となります。

 

これが転付命令の効力であり、最大のメリットでもあります。

 

差押え命令が債務者に送達するまでに時間がかかってしまうと、複数の債権者によって二重三重に預金口座が差押えされてしまい、最終的には回収できる金額が配当によって決まってしまうため、全ての債務を回収できないという事態になってしまいます。

 

しかし転付命令は銀行に転付命令が送達された時点で効力が発生するので、たとえ差押え命令を債務者が受け取る事を拒否していたとしても、転付命令が銀行に送達されてさいれば、他の債権者によって差押えられるという事はありません。

 

転付命令は基本的に差押え命令と同時に申し立てる事が多いですから、銀行に対して差し押さえ命令と転付命令を同時に申し立てる事で、預金口座を複数の債権者によって差押えられるかもという心配をする事がなくなります。

 

転付命令が確定される事で債権者が独占できるのは、差押えた預金債権です。

 

複数の債権者がいる場合、通常ならば裁判所によって預金が配当されていまい、回収できる金額が非常に少なくなってしまいます。そうならないために転付命令を確定させる事で、その効力で預金債権を独占する事ができるようになり、例えば100万円の預金がある場合はその100万円を全て回収する事ができるようになるのです。

 

転付命令のデメリットとは?

転付命令は預金債権を独占できるという大きなメリットを持っていますが、もちろんデメリットも持っています。そのデメリットは転付命令が確定してしまえば、元々の債務者に対してはその後は請求をする事ができないという点です。

 

転付命令は元々の債務者から銀行などの第三債務者に支払いの義務を移すというものですが、この時に例えば第三債務者である銀行などが何らかの理由で倒産してしまった場合、そこからの回収ができなくなってしまうので銀行口座を差押えたとしても回収をする事は不可能になってしまいます。

 

転付命令は確定してしまえば元々の債務者の支払い義務は消滅しますから、たとえ回収できなくなってしまったとしても、元々の債務者に支払いを請求する事ができなくなってしまいます。

 

転付命令が確定すると、元々の債務者に対して支払いを請求する事はできなくなってしまうため、必ずしも転付命令をしておけば安心という訳ではありません。

 

第三債務者が銀行などの場合、倒産するという危険は非常に少なく問題はありませんが、例えば売買代金請求権や工事の請負代金請求権といったものを差押えた場合には転付命令を行う際に注意しなくてはいけません。

 

転付命令は債務者が変わってしまいますので、変わった債務者も支払いが困難であった場合、最終的に回収ができなくなる危険も高いので転付命令を行うかどうかは慎重に考えなくてはいけません。

 

差押えた債権によっては回収不可能になるというリスクがある事を考え、差押える際に転付命令まで行うかどうかを考えましょう。

 

ただ、ここで気を付けたいのが転付命令が確定する事で元々の債務者から回収できなくなる債権は、あくまで差押えた金額だけであるという点です。

 

差押えた金額では支払い切れなかった債務があった場合、その債務は元々の債務者に対して請求する事が可能です。

 

債務に対して差押えた金額が足りていなければ、残っている債務は元々の債務者に請求する事が可能です。銀行預金を差押える場合、実際に差押えるまで預金がいくらなのかはわからず、実際に差押えをしてみたら債務額に対して少なすぎるという場合もあります。

 

そうなった場合に転付命令をしていたとしても、足りない分の金額を請求する事は可能なので心配する事はありません。

 

転付命令のデメリットを知ると、どうしても請求ができないと勘違いしてしまいますが、全ての債務が請求できない訳ではないので気を付けましょう。

 

転付命令のデメリットは、差押えをした金額に関してはそれ以上の請求ができないという点です。

 

ですので転付命令を行う場合は、きちんと回収できるかどうかを慎重に検討しなくてはいけません。転付命令のデメリットをきちんと把握し、差押えるものがどういったものなのかに合わせて行うかどうかの検討をしておかないと、回収しようとした金額が請求できなくなり、最終的に想定していたよりも回収できた金額が少なくなってしまうという事にもなりかねません。

 

転付命令が生じるタイミング

転付命令は銀行預金の口座を差押えた場合に、その口座にある金額を独占するために重宝する方法ですが、その効力を発揮するタイミングを知らないと効果的に使っていく事はできません。

 

転付命令の効力が発揮されるのは銀行に転付命令が送達された時点ですが、これは転付命令が確定していなければ効力を発揮する事はなく、転付命令が確定した場合に始めて転付命令が送達された時点までさかのぼって効力が発揮されます。

 

転付命令は裁判所から発令されますが、この際に銀行だけでなく債務者に対しても転付命令が送達され、債務者がこの転付命令に対して執行抗告をする事ができますがこの執行抗告が無かった場合、その時点で転付命令が確定します。

 

転付命令が債務者に送達されると、債務者は1週間以内に執行抗告をする事ができます。この執行抗告がされない場合に転付命令が効力を発揮しますので、もし執行抗告を債務者が申し立てなかったとしても、1週間程度の時間がかかってしまうと考えておくと良いでしょう。

 

そして転付命令が確定すればそこからさかのぼって1週間前の日付から転付命令の効力が発揮されますので、例えば転付命令を送達した後に他の債権者が後乗りで銀行預金の差押えの申し立てをしていたとしても、転付命令の効力があるため差押えた預金口座の金額は最初に転付命令を申し立てた債権者が独占する事ができます。

 

転付命令の効力がいつから発揮されるのかを知っておく事は、安心して差し押さえをする事ができるかどうかに関わりますので、重要な情報です。

 

銀行口座の差押えをしたとしても、差押え命令の送達に不備があった場合、後乗りしてきた他の債権者と差押えた口座が重なってしまい、供託所から配当されるという事になってしまって回収する金額が減ってしまいます。

 

それを避けるために大きな効力を持つのが転付命令であり、この転付命令の効力がいつから発揮されるのかを知っておけば最初に転付命令を出しておくかどうかを判断するための基準となってくれるでしょう。

 

転付命令と差押え命令は基本的に同時に送達されるものですので、早いうちに出しておけばそれだけ転付命令が確定した後に独占できる可能性が高まってきます。

 

ですから転付命令の効力が発揮されるのはどういったタイミングなのかをきちんと知っておきましょう。

 

転付命令は確定した瞬間に、送達された時間までさかのぼって効力が発揮されます。この転付命令が確定するまでには最長で1週間ほどかかってしまうため、転付命令を送達する際にはなるべく早めに出しておくようにしなければいけません。

 

転付命令を申し立てするかどうかの判断も必要ですが、もし送達する場合は早めに送達できるようにする事が重要です。

 

転付命令が失敗するケースとは?

転付命令は非常に大きなメリットがありますが、この転付命令は必ず送達する事ができるという訳ではなく、転付命令ができない場合や失敗してしまう場合もあります。

 

なぜ転付命令ができない、失敗するという可能性があるのかを知っておかないと転付命令を行おうとしてもできず、回収が滞ってしまう可能性もありますから注意が必要です。では、転付命令が失敗してしまうというケースにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

転付命令ができない、失敗するというケースで考えられる理由は4つあります。

 

まずひとつ目は転付命令を送達するよりも先に、他の債権者が差押えをしてしまっていた場合です。

転付命令よりも先に差押えが確定してしまっていは、転付命令はできません。

二つ目は債務者が転付命令に対して執行抗告を行った場合で、転付命令を送達したからといって必ず転付命令が確定する訳ではないという事を知っておく必要があります。

執行抗告は転付命令が送達されてから1週間以内に行わなくてはいけないので、債務者に転付命令が送達されてから1週間以上が経った時点で転付命令は確定します。

 

また執行抗告があったとしても、正当な理由がないと判断されれば却下されるので、執行抗告があっても転付命令が失敗する可能性があるというだけで、確実に失敗する訳ではありません。

三つ目は転付命令よりも先に債務者が自己破産の開始を決定していた場合で、自己破産を開始されてしまうと債務者に対する差押えや強制執行がすべて失効となってしまいますので、転付命令も無効になってしまいます。
そして四つ目が転付命令の対象となる債権に券面額無い場合です。

転付する債権の金額が確定していない将来の給与債権、将来の退職金請求権などは転付命令の対象とならず、これらの債権に転付命令を行おうとしても無効になってしまいます。

 

ただし銀行口座の預金など金額が確定しているものに対しては転付命令は有効ですので、将来の収入などを対象としない限りは問題ありません。

 

転付命令は必ず確定するものではなく、場合によっては失敗してしまう事も多くあります。転付命令を行う際には、なるべく早い時期に行うようにして、執行抗告が1週間以内に行われないかどうかを待つ必要があります。

 

転付命令をして終わりなのではなく、確定して初めて回収が可能になるものですから、最後まで気を付けておきましょう。

 

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